中国製の日中・中日電子辞書のインプレッション
    報告日:2003年10月30日
台湾製の電子辞書「快譯通MD101」を使いこなしているが、中国にも同じような「中日・日中」の辞書が内蔵された電子辞書がないか探し続けて約半年、やっとネット上で見つけることが出来た。機種名とモデル名は「桑姆通譯JC-3002」。
http://www.same-dict.com/jc.htm
http://www.tongji.net/ad/ad_wqx.htm
ネット上に記してあった費用は698元。日本製の中国語対応の電子辞書や台湾製のMD101に比べると非常に安い。この手の電子辞書マニアの私としては是非手にとって使い勝手を評価してみたいところだが、ネットに載っていた会社(上海)に電話で確認したところ、私が住んでいる広州には取扱店が無いとの事。。。

「電子辞書の出来によっては中国語を勉強している日本の人達に紹介することが出来るので、その評価のためにデモ機を書してくれ」と尋ねてみたが断られ、「だったら前金50%、使えそうだったら残りの50%を払うので送ってくれ」と聞いてみたがこれも断られ、結局698元+送料を銀行振込みで支払い、購入する事になった。

振込みを終えてから5日後、「桑姆通譯JC-3002」がESM便で会社に届いた。
※注意:全ての画像は、画像をクリックすると大きなサイズで見られます。
●外箱。EMSの書類袋にこのまま入っていたので、箱の角などがくたびれていた。中国の通販なんて、こんなものなのかな。
●箱を開けたところ。本体、説明書、保証書、検査成績証、単四乾電池2本、巾着袋ケースが入っている。外箱の塗料が剥がれたカスが、埃のようになって箱内に散らばっていた。巾着袋ケースは黒なので、この上に降り掛かっているのは結構目立つが、もちろん、叩けば綺麗になる。本体はビニール袋に入っていたので特に影響は無い。
●裏面のラベル。購入業者の電話番号に取り消し線が引かれている。しかも、新たに書かれた番号の上にラベルが貼られて見えない。。。日本製の製品には絶対にありえない訂正方法(日本の企業なら、新しく張り替えるでしょう)。
●トップカバーのエンブレムの貼り方がずれていて、凹面にちゃんと嵌っていない。この辺のいい加減さも中国製ならでは?(笑)
●「快譯通MD101」(写真右)と「桑姆通譯JC-3002」の大きさの比較。幅170×奥行100×厚23mm・重さ315gと、幅107×奥行75×厚17mm・重さ90gのでは、これだけ大きさが違う。「桑姆通譯JC-3002」はワイシャツの胸ポケットにも楽勝で入る。
●辞書を開いたときの大きさの比較。画面の大きさ、キーボードの大きさの違いが歴然。
●JC-3002を開いたところです。スピーカーのような穴があったので音声も出るのかと思ったら違いました。恐らく、筐体を兼用していると思われる「桑姆通譯シリーズ」の英語辞書などでは発音機能があるのではと思います。因みに、本体右横に「DATALINK」という穴があり、そこにゴムキャップが被せてありましたが、ここも「桑姆通譯JC-3002」では使われず、ただの穴でした。
●キーボード部の拡大写真です。中央上側の赤いキーが「ON/OFF」キー。「ON」にした時の画面は、目録(メニュー)、日中辞典、時間から選べ「システム設定」で設定します。キートップには平仮名が書かれていますが、この平仮名50音による入力、カタカナ入力、ローマ字入力が中央下部の「輸入法」キーにて選択できます。但し、日中辞書を開いたときは、必ずローマ字入力になります。
●スクリーンの拡大写真です。これは目録(メニュー)画面。9つの項目があり、左上から時計、記事、計算機、名刺録、辞典、資料、ゲーム、バージョン情報、システム設定、です。画面のオートOFFは、3分、5分どちらかを選べます。
●辞書機能
この電子辞書は、日中・中日に特化し、英語系の辞書は付いていません。但し、日本の漢字の読みを入力すると、その漢字を使う語句が出てくる「日文漢字輸入法」という辞書だけが追加であります。この辞書は、例えば「asa」と入力すると「朝、麻、浅」が画面下にならび、「朝」を選ぶと、「朝、朝憲、朝敵、、、、、」などが画面に出てきます。訓読み、音読み、両方から調べられます。

日中辞書ですが、ローマ字入力、あるいは50音による入力で平仮名(或いは片仮名)を入力していくと、1文字入力するごとに候補の単語を絞り込んでいきます。この日中辞書の登録語句は10万語とのことで、カシオやセイコーの電子辞書に搭載されている「小学館・日中辞典:初版」の8万3千語に比べても多くなっています。尚、出てきた中国語の結果にはピンインが書かれていないので、この辞書で読み方を知る事は出来ません。

中日辞書ですが、検索は「五筆、ピンイン、漢字の画数」から選択できます。手書き入力が無いので、ピンインを正確に入力するか(但し、四声を入力する必要は無い)、漢字の画数(簡体字の)を知らないと検索が出来ないことになります。「五筆」が何なのか、私もよく知りません。。。検索した候補の漢字は画面下に並び、1〜0までの数字キーで選択します。また、次の候補は右矢印キーで表示します。

この中日辞書の語句数は8万語。「小学館・中日辞典:初版」の8万5千語に比べると、少々少ないですが、MD101が搭載している「當代中日辞典」の3万2千語に比べると倍以上あります。
●その他の機能
辞書以外の機能として、計算機(普通計算、科学計算、統計計算)、時計(ローカル時間、世界各地の時間、目覚まし時計)、ゲーム6種、資料(郵便番号、日常電話、旅行ガイド、名刺管理、ノート(覚書、スケジュール)などがあります。
●総評
日本製の辞書と比べるのは酷かも知れませんが、外観は非常に安っぽく感じられます(玩具の電卓のような感じ)。しかしながら、サイズの小ささ、軽さは他を圧倒し、このサイズながら日中・中日辞書が18万語で、カシオやセイコーの電子辞書に搭載されている小学館の辞書に勝っているのも立派です。

しかしながら、日中辞書の中国語の結果にはピンイン表示が無く、中日辞書の検索もピンイン入力になることから考えると、中国語初心者にはちょっと使いこなすのが難しいのではと思います。漢字からピンインがある程度予測できる人、中国語の発音よりも文字そのものの検索がメインな人(文章を書く人)には面白い機種だと思います。

でも、日本の電子辞書に比べて非常に安い(メーカー希望価格の1/4、実売価格の4割弱)ので、気軽に持ち歩くセカンド機として、或いは本場中国の辞書で中国の雰囲気を気軽に味わいたい人は、購入されても損はないと思います。
●その他
購入ですが、残念ながら日本では売られていないので中国から購入する必要があります。以下の販売会社が日本へも発送してくれるようですが、クレジットカードは受け付けてなく、中国国内の指定口座に入金する必要があるので、日本に住む人には購入は容易ではないと思います。
http://www.tongji.net/ad/ad_wqx.htm
この辞書に関しても、「快譯通MD101」同様に代理購入を承りたいと思いますので、興味のある方は途夢郷まで気軽にお問い合わせ下さい。
mailto:tom310@mac.com