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Color Classicが幻のMac、Mysticに変身


 今となっては、とっても遅い部類に入ってしまうColor Classic(通称:カラクラ)を今頃購入したのは、まさにこの改造をしたかったからと言っても過言ではない

 コンパクトな筐体にカラーモニターを搭載して人気を評したカラクラは、その後クロックスピードの速いColor Classic IIへと進化し、更にその後継機種として68LC040のCPUを搭載したコードネーム「Mystic」へと発展する予定であった。しかし、当時の製品ラインアップでは既に殆どのディスクトップモデルにCD-ROM Driveが標準装備で搭載される中、コンパクトがゆえにカラクラのサイズにCD-ROM Driveを搭載することが難しいため、ついに発売には至らなかった

 しかし、実際に発売された、13インチモニターを搭載した一体型のLC575と同じ時期に開発されていたため、LC575のロジックボードはそのままカラクラの中に収まり、若干の改造を施すことにより幻のMysticを誕生させることが出来るのである。
 更に、内蔵ディスプレイの解像度が512×384ドットであり、ゲームを初めとしたマルチメディアタイトルが要求する最低限の解像度640×480ドット以下であったため、折角カラーモニターを搭載しているのに宝の持ち腐れであった。そんな中、1995年11月に「MACLIFE」誌上で公開された改造方法により、カラクラを高解像度(640×480ドット)化できる事がわかり、これによって中古市場での価格が急騰し一時爆発的な人気となった。尚、今回はMystic化も行うので、比較的アナログボードへの負担が少ないVGA化を行うことにより640×480ドット表示を可能にした。

 尚、今回の改造に際して、以下の文献とWeb Siteを参考にした。


MysticとSystem 7.5での不具合

 漢字Talk7.1(System 7.1)をインストールしている場合は、System Enabler065 Ver1.1を入れるだけでOKなのだが、漢字Talk7.5System 7.5)以降のOSをインストールしている場合は、ただLC575のロジックボード(以下、L/B)を入れただけだと起動時にシステムエラーが起こり爆弾が出てしまう。カラクラとLC575のL/Bを組み合わせた場合には、Macの機種識別IDをID=99と認識するのだが、ID=99はLC580のIDと同じであり、LC580用の起動処理をしてしまって爆弾が起きてしまうのである。とっても便利なソフトウェア・ルーターのIPNetRouterを使用するためにはSystem 7.5.3以上が必須なので、これでは困ってしまう。。。でも心配ご無用! 以下の改造により、システムを騙してMysticを起動できる

LC575のロジックボードの改造

  1. LC575のL/Bの裏側、右の写真の赤丸(1)のところにシステムIDを決めるチップ抵抗があるので、それを次のように入れ替える。
  2. R116のゼロオーム抵抗を外し、R109のパターンに取り付ける。本当は4.7kオームの抵抗がいいらしいが、ゼロオーム抵抗での問題ないとのこと。

 以上の改造で、Mysticは自分をLC575だと思い、ID=92と認識する。

MysticのVGA化

 カラクラの内蔵ディスプレイは純正12インチ互換の単解像度モニターとして設計された10インチトリニトロン管で、水平同期周波数は24.48kHz、垂直同期周波数は60.15Hzである。それに対してVGAモードでは水平同期周波数が31.5kHz、垂直同期周波数が60Hzなので、水平同期周波数をどうにかしなければならない。そこで、水平偏向電圧の電源部を60Vから68.4Vに上げるようにアナログボードを改造する。

  1. 筐体裏カバーを外し、アナログボードを取り出す。その際には、アナログボードから他に繋がっているケーブル類を全て外す。
  2. L/Bとアナログボードを結んでいるケーブルAssyを加工するため、シールド板、シャーシ、HDD、FDDなどをすべて外し、バラバラな状態にする。しかし、Doping MACの記述に従って改造を進める中で、101ページの図1の絵と実際のケーブルAssyが同じには見えず、1番ピン側と書いてある方向が、どうも実際のケーブルの1番ピン(通常は、赤ラインが入っている側が1番)とは違っているような気がしたので、Web SiteのMYSTIC ROOMGabezing ROOMで確認してみた。案の定、違っていたので、万が一間違えても取り返しのつく、L/Bのコネクターを改造する方法で対応した。(となると、ここまでバラバラにしなくても出来たのだが、、、)
  3. L/Bの裏側にある接続コネクター(上記「LC575のロジックボードの改造」の1.の写真の(2))の20番、24番、25番ターミナルの上に絶縁テープを貼って、本体に差し込んだ時にオープンになるようにする。また基板のラウンド20番、24番をジャンパー線で接続する。
  4. 水平偏向電圧の電源部が60Vから68.4Vになるように、電源トランスZP1の周りを改造する。改造するポイントは、アナログボードの裏側、右写真の赤丸部分。
  5. 8番ピンのパターンをカットする。パターンをカットするには、カッターで1〜2mmの間隔で2本平行に切れ目を入れ、その間をピンセットなどで引き剥がず。ここの絶縁が不充分だと高圧回路がショートして非常に危険。写真は、パターンカット前とパターンカット後。次に、8番ピンと12番ピンをジャンパー線で接続する。
  6. バラバラにした部品を元通りに組み立て直し、カラクラの電源を入れる。この時に起動音が聞こえればOK。Macの改造の中では結構危険な部類に入る改造だったので、この起動音を聞いて一安心する。
  7. この時点で既にVGAモードになっているが、画面がゆがんでいるので、垂直表示位置・サイズ、水平表示位置・サイズを絶縁ドライバーを使って調整する。調整ボリュームは、リアカバーを開けたところにある。

見事、VGA化されたMysticの誕生!

 ご覧のように、見事、カラクラVGA化され640×480ドットで表示できるようになった。これで、Netサーフィンにもそこそこ使える。勿論、CPUが68030/16MHzから68LC040/33MHzに1ランクアップし速度は大幅に向上。また10Mまでしか認識できなかったメモリーも、Mystic化により36MBまで認識できるようになった。因みに現在は、16MBのメモリーを追加し実装4MBと併せて20MB確保してある。最近は待っているゲームの「まきがめ」が広い画面で、そこそこ早いスピードで出来るようになった元紀は大喜びである。(カラクラは、一応、元紀のPCという名目)

おまけ

 LC575ロジックボードはサイズと機能的にはカラクラと互換であったが、インターフェース・コネクタ関係の位置がずれているので、写真のようにリアカバーが填らなくなってしまった。まあ、これが無くても機能的には全く問題無いし、裏側に隠れている部分だからこのまま填めなくても見えないので良しとしよう。


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